1. HOME
  2. 特別対談

防災士研修センター x 東京都葛飾福祉工場 特別対談

【対談日】 令和3年1月14日
【対談者】 社会福祉法人東京コロニー 東京都葛飾福祉工場副所長(当時) 川原英司 様
      株式会社防災士研修センター 代表取締役常務 玉田太郎

はじまりは「三角バケツ」から

防災に長年携わっている東京都葛飾福祉工場様の誕生から製品開発の苦労、防災に関する経験などを現在まで長く第一線にて陣頭指揮を執られている副所長(当時) 川原英司様にお話を伺いました。

葛飾福祉工場のはじまりと経緯

(防災士研修センター代表 玉田 太郎 以下、玉田)
私どもの防災士研修で多くの受講生より「防災用品を購入検討する際に薦められる良い商品はないか」といった質問が寄せられます。
防災用品分野の第一線で活躍されている東京都葛飾福祉工場様の創業から現在まで取り組んでこられた様々なお話や最近の防災商品に関する動向などお伺いしたいと存じます。
まず、貴工場が防災製品を取り扱い始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

(川原英司副所長 以下、川原)
私ども葛飾福祉工場は1972年4月1日誕生し、2022年に創立50周年を迎えます。
母体である社会福祉法人東京コロニーも本年(2021年)10月に70周年を迎えます。

「障害者雇用」を目的に東京都が設立し、社会福祉法人東京コロニーに経営委託する「都立民営」という形でスタートしました。
1972年は関東大震災(1923年9月1日)から49年目となります。当時、都や消防では「ひょっとしたら、また関東大震災が起こるかもしれない。その前に防災対策をしっかりと行わなければならない」と考えていたようです。
その頃の防災といえば消火器が第一に浮かびます。そこで、「もっと身近に消火器に代わるものを」と東京消防庁が「三角バケツ(消火バケツ)」を開発し、その製造元として当工場が誕生しました。

東京都が作った工場でしたので、最初のうちは周辺自治体へ順調に販売できました。しかしプラスチック製品であることから、長期使用可能で買替え需要見込めず工場継続の為、更なる防災用品を開発していく必要がございました。
たとえばL字型金具が中心だった転倒防止器具。家具が壁を傷つける事が無いように開発されたのがつっぱり棒タイプ転倒防止器具「マグニチュード7」です。
また、家具転倒防止板の「ふんばる君」など、さまざまな製品を開発・製造してまいりました。

防災用品といってすぐ思いつくのは乾パンと水、トイレだと思います。当時は乾パン3年、保存水2年の賞味期限でした。それでは短かいという声が多く、個別包装フィルムの採用等を経て長期保存が可能な製品も作りました。
トイレでいうと、50年前トイレ問題はタブー視されていました。防災予算もトイレには予算が組まれる事はなかったのです。しかし、阪神淡路大震災で一気にトイレの重要性が証明されました。

今では様々な防災用品を開発・製造、取扱しており、防災・避難用品カタログは基本毎年更新となりました。掲載製品は、「1年を通して販売できるもの」、「長期的に使用され、何かあった場合には修理やメンテナンスに対応できる商品」であることをコンセプトに選定しております。

ここまで、私どもの工場のスタートと現在についてお話ししましたが、その始まりは「三角バケツ」だったのです。

コロナの影響とこれまでのビジネス展開

(川原)
実は2023年の関東大震災100周年に様々な企画を考えていたのですが、新型コロナの流行により、軌道修正を行わなければならなくなりました。
例えば防災・避難用品カタログにて、避難所を実際に設置した実写版を掲載してみてはとか考えていました。

(玉田)
カタログ掲載商品を実際の避難所に設置すれば、より状況イメージが出来ますね。それぞれの商品の良い連携を確認できると思います。

(川原)
当工場では、発電機から、炊き出し道具、間仕切りなど多くの製品を販売しています。それを実際に再現し、カタログ写真を撮ろうと考えていました。しかしコロナの影響が大きくスケジュール調整が困難となったんです。

(玉田)
大変残念ですね。是非改めて実現してほしいですね。
防災・避難用品カタログはどういった立場の方々の関心が高いのですか?やはり自治体様が中心なのでしょうか?

(川原)
主に国や自治体の備蓄や、自治体による世帯向け斡旋販売が中心となります。他に百貨店はじめ様々な業界の民間団体ほか、全国の代理店とも取引しております。また、最近ではネットショッピングでの販売も増えてきました。

(玉田)
民間団体ではどのような需要がありますか?たとえばマンション向けの販売等も増えているのでしょうか?

(川原)
民間団体では通常の備蓄のほか、海外拠点向け防災用品の需要も増えています。
また、マンションに関しては中高層向けのマンションなどで発電機など資機材を納入しています。
具体的な製品では意外かもしれませんが、短距離・近距離タイプのトランシーバーがよく売れます。
災害時、携帯基地局の破損などで電波障害が起きた場合、トランシーバーの方が有効だったという事例が寄せられています。発災時はマンション内での連絡には大変有効なのです。
ほかには出火時の階下への避難用として「階段避難車」の引き合いもございます。

(玉田)
最近は大規模団地、タワーマンションなどの高層階に高齢者が居住し、地震発生時エレベーターの停止で階下への移動や自宅へ戻れないといったケースも多いと聞きます。やはり事前の備えがどれだけできているかで被害は変わってくるのでしょうね。 また、都内では特に水害なども問題になっていますね。
先日、都内のある区にてマンションにおける水害対策について話を伺ってきたのですが、区ごと、土地柄によって必要とする防災用品に違いがありますか?

自治体の災害への備え・意識

(川原)
先進的な備蓄計画を行ってきた自治体も多いですが、近年の台風被害など規模の大きな水害が起きるようになり、防災に力を入れる自治体が確実に増えていると実感します。
洪水による津波被害や、南海トラフ級の地震発生時、地域の大部分が浸水被害をうける危険性が高い自治体や、木密地域といわれる場所が多い自治体は特に力をいれてきていると感じます。
そのきっかけはやはり東日本大震災の発生で、皆さんの防災意識は一気に高まったと言えますね。

(事務局)
東日本大震災発生前後では23区の防災意識は変わりましたか?発生前はどのような意識であったのでしょうか?

(川原)
23区だけを見ると阪神淡路大震災が大きな契機だったのでしょう。
東日本大震災発生時、東京は救援物資基地機能を問われていたと思います。東京は、阪神淡路大震災の発生で、発災時対応だけでなく、災害を事前に備える防災対策を行うべきという意識に変わったと思います。
また、新型コロナ流行時に発生した熊本の水害では、新たな問題がおきました。
東京はじめとして全国より備蓄物資と人材を被災地に送る際、いわゆる「三密」を避けるため送れないという事態が起きました。これまで一気に高まってきた防災意識が今、コロナでブレーキがかかってる状態だと思います。



(玉田)
具体的にコロナの発生で大きく変わったことはありますか?

(川原)
避難所における感染症対策などで新たな対応が問われています。
製品でいうと間仕切りやパーテーション、ダンボールベッドなど、組み立てが簡単で耐久性があり、処分も簡単にできるもの。コロナの影響もあり非常に反響がございますね。

防災グッズのニーズと使われ方の変化

(玉田)
感染症対策と言えば、使うたびに消毒するなどが必須ですね。
歯科クリニックの床などでは、治療が終わるたび床に設置したビニールを剝がしていく様な製品を導入しているところもあるようです。「使うたびに剥がす、最後の一枚剥がすと使用終了」といった付箋のような機能を取り入れたダンボールベットなど、防災用品にどんどん組み込んでいったほうが良いと思います。最初に伺ったトイレについても更なる改良が必要かもしれませんね。

(川原)
おっしゃる通りですね。トイレも30年前はこんなに売れるとは思ってはいませんでした。それが今は売れるのが当たり前になっています。しかし開発当時、商品は作ってみたものの、我々も半信半疑でした。なかでも簡易トイレは需要がなかったのです。今ではカー用品店で普通に定番化されています。

(玉田)
自動車の渋滞の時、簡易トイレが車内にあると本当に便利ですよね。
普段はカー用品として使っていて、災害の時はそれをうまく使えばいい。
私が講師を務めている研修でも、備蓄と聞いて何を揃えますか?と聞くと最初は水と食料、水を備蓄理由は蛇口をひねっても水が出なくなるから。そしてトイレの水も流れないので水を備蓄する=トイレも備蓄する必要がある、これはセットで考える必要がある。そういう話をするのですが皆さんなかなか盲点のようです。
トイレは軽視されやすいですね。1日2日ご飯を我慢できないことはないですが、トイレを我慢することは無理です。そういう啓発や気づきを、研修を通して感じていただければと意識してお伝えしてきたところがあります。

(川原)
御社も普及啓発にご尽力されておられるのですね。地域の防災リーダーや自治会防災担当者が受講し、防災士となる事でヨコに知識が広がっているのでしょうね。
ちなみに今、防災士はどのくらい増えているのですか?

防災士の役割、防災士研修の思い出

(玉田)
防災士は2021年1月で20万人を突破しました。
いま1年間で1万人弱が新規防災士として登録されています。私どもは全国各地で研修を行っていますが、内訳は自治体職員が6,000~8,000人、年間養成人数の約半数です。残り4,000人が一般、団体で、会社員や学生、自治会関係者など、様々な職種の方が防災士として活躍されています。

(川原)
随分増えましたね。私どもが普段、町内会や自主防災組織代表の方と話をしていると、名刺に「防災士」と記載されている方が増えたと実感しています。
防災士を取得されている人は話が伝わりやすいのです。一定の知識を持っているので最初から話をしなくても防災士の方が中心になって色々活動していただけるし、地域で防災に取り組んでいただくのが始めやすいです。実は我々も、最近は名刺に必ず防災士と入れるようにしています。

(玉田)
防災士研修にどのような思い出をお持ちですか?

(川原)
当時は三日間の研修でしたね、結構緊張しました。しかし研修内容は非常に楽しかった。講義は様々な講師が行い、毎日が新鮮でした。テキストを持って図書館に籠って勉強していました(笑)
テキストも当時に比べ厚くなりましたね。常に情報は増えていますからね。本当に防災は奥が深いと思います。今年は更に感染症問題が入ってきましたから、際限がないですね。

公益団体の求める機能に応じた製品開発

(事務局)
先程、自治体を中心にお取引をされているというお話でしたが、学校関係や医療福祉関係、交通機関とのお取引というのはどのような状況でしょうか。

(川原)
学校現場では学生・生徒のための防災対策をPTAも加わり熱心に行うところが増えてきました。交通機関も鉄道、運輸、航空、病院や福祉関係も防災については熱心に取り組んでおられますね。

(玉田)
ワクチン接種練習報道をみて、予防接種現場で貴工場の開発製品が役立つことが結構あるんじゃないかなと感じましたが、各顧客から要望はありましたか?オリジナル対応をご要望されるケースなど結構あるのですか。

(川原)
対応できる場合と出来ない場合がありますが、頂くご意見ご要望が新たな製品開発をおこなうきっかけとなることもあります。
ご意見は結構多く大変貴重な情報です。例えば炊き出し用かまどは日本赤十字社東京都支部様のアドバイスを基に改良致しました。
それまでは大型製品のみ販売していたのですが、炊き出しを行う方に女性や高齢者が多いので、大量に作ることが可能な製品であっても持ち運びが厳しいというアドバイスを頂きました。そこで軽量タイプのものを開発しました。開発には約3年かかりましたね。試作品を作る度、新たな課題を頂き、ようやく完成しました。
ほかには簡易トイレのセット品。これもご意見を基に作ったものなのです。100名、200名といった団体用としてダンボール梱包し、しかも一人一人に配れるような個別包装としました。
また、いただくご意見やご要望が従来ではなかったような内容など、非常に細かくなりました。
例えば、食料に対するアレルギー対策について。以前はアレルギーの主要品目は7、8種類でしたが今は28品目まで広がっています。いまは各メーカーが主要な食材について情報を載せていますけれども、防災商品で最初に表示を始めたのは、実は当工場が初めてなんです。
アレルギー対策というのは無視でない問題です。特に給食などアレルギーに関しては自治体も非常に敏感です。販売した保存食品を食べ、アナフィキラシーショックを起こすと大変なことになります。そのため内容をしっかりカタログに掲示しようということで始めましたが、今では多くの食品メーカーのホームページ上で商品検索すれば、アレルギー品目が出てきます。

(玉田)
そうなんですか。もう日常の水準になってきてるのですね。

(川原副所長)
はい、官公庁も今では備蓄品に食材名だけでなく、原材料を含め、どのアレルギーが対象になるのか、また、材料だけでなく、工場のライン上でアレルギーの原因となるものを使用しているかなど、「コンタミネーション(混入)」といわれるものも表示していますね。
また、食料について言えば、災害時要配慮者が食べやすいもの、食べやすさにこだわった商品もあり、さらにハラールなど宗教上、原材料に豚肉やアルコールを使わない商品もあります。

以前は食料品も、乾パンが主流だったのですが、やはり食べにくい、固い、高齢者はどうするのだという問題がありました。そこで「ビスケットをつくろう、クラッカーを開発していこう、高齢者向けにアルファ米でお粥をつくろう・・・」など、各メーカーさんと色々相談をいたしました。

製品開発に根付く「フェーズフリー」

(事務局)
最近防災の分野では、「普段日常生活で使用しているものが、発災時そのまま防災用品になる。」「フェーズフリー」というフレーズをよく聞きます。例を挙げると、「普段使用しているクッションが、ファスナーを開けると寝袋になる」といったような製品やサービスの事です。こうした動きを川原様どうお考えですか?

(川原)
元々、私どもの概念はまさにそれなんです。「普段のものをそのまま使う。」
例えば冷蔵庫にあるもの、家にあるもの、何気なく置いてあるおやつなど、これらがいざというときは非常食になるんです。鞄の中にいれているものが、災害時に使えるものに変わる。
よくお客さまから「これ全部揃えたら絶対安全ですか」と言われることがありますが、そんなことは絶対ありえない。だから私どもはその家にあったもの、その人に合ったもの、その地域に合ったもの、こうしたものを揃えるということを概念にして活動しています。
防災用品も普段使いとしても使えるものです。「今あるもので何とかする」ということですね。

5年計画で備蓄を進めていても、4年目にもし災害が起きたら?その時は4年間で揃えたものを使って対応すればいいのです。無理して一気に揃えるのではなく、揃える準備をすることが大事であって、何もしないことが一番危険じゃないかなと思います。

福祉工場の防災対策

(玉田)
話は変わりますが、福祉工場ということで、障害者の皆さんを多く雇用されていると思いますが、発災時に雇用者を守る為、どのような対策を取られていますか?また最近、対策内容が災害発生によって見直しをされたものとかあるんでしょうか。

(川原)
私ども工場は福祉施設という前提がありますから、消防法や建築基準法で非常用スロープの設置が義務付けされています。発災時は滑り台のようなスロープでゆっくり車椅子の方が降りられるように斜めにゆっくり降りられるよう設計されています。
また、スロープを作れない建物では救護袋、避難シューターを使用し、階段にはまた非常用運搬車があります。
また、防災倉庫は3階に用意しています。なぜ3階なの?と思われるかもしれませんね。実は葛飾区は先程話題にあった水害問題があるのです。1階に倉庫を置いていたら水浸しで使用できない恐れがあります。昔は防災倉庫、防災資機材は1階や地下など一番下に置くというイメージがありました。しかし水害を考えた時、これらは上にあった方が良いという判断により防災倉庫は3階に設置しました。

(玉田)
1階がデッドスペースにしやすいから1階に置いてある。その方が日常として良いかもしれないですが、安全の事を考えるとやはり3階など常識にとらわれずに判断する、これこそが非常に重要ですね。

(川原副所長)
3階からどうやって下に降りるんだ?と言われる事もありますが、3階にあれば災害時すぐに屋上にて使用することもできます。その場に最適な方法をとることが大切だと思います。

(玉田代表)
お伺いした内容は、いろんな地域で問題になっているマンションの防災対策などに対してもすごく役に立つ情報だと感じます。これからの防災士研修での参考になります。

機会を捉え防災を周知・啓蒙

(事務局)
カタログを拝見しますと、多岐にわたって製品が掲載されていますが、これら製品の使用や管理についての教育などの要望もあるのですか?その場合どのように対応されておられますか?

(川原)
各自治体より講習会講師の依頼などたまにございます。例えば9月の防災週間に新宿駅西口広場のイベントに一週間程度、防災用品の展示を行ったこともございました。日替わり開催の防災教室で防災用品についてレクチャーも行いました。また、防災用品を展示、説明してほしいとの要望や、炊き出しや大型トイレの組み立て、間仕切りのデモンストレーションなど様々なご要望がございます。

賞味期限で防災もアップデート

(川原)
あと、「保存期間が切れたら場合どうすればよいのか」との質問を受けます。そうした場合は「期限が切れる前に試してもらいたい」とお伝えします。事前に備蓄品のチェックを行い、期限切れ前に廃棄せず、周りの住民や職員に配布することで使用方法もわかります。どんなものなのか試して頂きたいと思います。

地域防災の力をどう高めるか

(事務局)
最後にもう二つ質問がございます。まず地域防災についてです。
地域においてどの様に防災活動を浸透させていくか、家庭内での自助力、支援力が落ちているうえ、地域でのコミュニケーションも減り、高齢者の増加、問題や悩みを抱えている若者も増えてきている現代でどのように自助の力を上げていけばよいのか、防災業界に携わられている立場でお考えをお聞かせ頂けますか。
また、お仕事の立場を離れて、川原様が防災業界を俯瞰的に眺めてみた時に、業界全体との課題や個人としての思いというのをお聞かせ頂けますか。

(川原)
まず地域の話ですが、私の思いは「防災という形でなく、違った切り口から入ってきてもいいのではないか」ということです。
自治体も色々と考えており、例えばある自治体は、秋のイベントで「障害者のスポーツと防災」この3つの視点で毎年イベントを開催しています。障害者のイベントにスポーツイベントを加える事で地域のスポーツ団体が参加する。スポーツイベントだから学校が参加する。そこに「防災」を追加する。障害者・スポーツ・防災の3つを1か所で行うことで参加者に関心を持っていただく。このようにいきなり防災に関してストレートに入るより、地域のイベントの時にみんなで災害や地震が起きたらどうするかという風に、そういうところから入っていったら良いのではないかと思います。

防災業界はモザイク

もうひとつの質問ですが、「防災業界は一言で言えばモザイク業界」だと思っています。いろんな業種、業態の人たちが集まって防災業界は出来ています。例えば菓子メーカーが非常食を作ったら防災メーカーと言えます。
私がこの仕事に関わって嬉しかったことは、20代の若さで、様々な大手メーカー様と付き合いができたということ。多様な企業が関われるのが防災分野だと思うんです。そうした意味でモザイクと思います。

(玉田)
まさに今おっしゃっていただいたことが、私も感じております。
普段、何気なく目にしているいろんな商品、メーカーだからこそ、日常のものを防災につないでいくことが出来ると感じます。

(川原)
そうなんです。江崎グリコのビスコも非常食になるのです。先程話題になった「フェーズフリー商品」がまさにそうです。普段のモノがそのまま防災用品になるわけです。
そういう感覚で、私どもは長年防災に関わっています。
これからの防災用品はみなそういった考え方を持った商品でないといけないと思っています。
そうした意味で防災業界は今後も広がっていくと思います。

対談を終えて・・・

長年日本の防災力向上のため、防災用品の分野で独自開発と販売を手掛けてきた葛飾福祉工場様と今回対談する機会に恵まれました。その誕生のきっかけとなった「三角バケツ」に始まり、各種防災用品が、現在広がりつつある「フェーズフリー」の精神である「どのような状況(フェーズ)においても利用でき、日常から使えるもの」といった考え方を早くからその製品開発に活かしてこられた事。
また、障害者雇用を目的に設立された組織であることから、災害時要配慮者の事を考えた仕組みつくりを行っており、発災時の被害想定を基にした備蓄計画を以前から行うなど、各地で対策方法の悩みを伺う機会の多い「マンション防災」、「事業所内防災」に代替できる内容であると実感できました。
是非、同工場様での様々な取り組みを皆さんの地域・職場での対策に活かして頂きたいと思います。 (事務局より)

※東京都葛飾福祉工場の詳しい情報は下記ホームページをご覧ください。
防災・避難用品カタログ請求なども申し込み可能です。
https://www.fireman21.net/