防災士インタビュー

黒川 剛さん

お仕事の内容をお聞かせください

日興アセットマネジメント株式会社の総務部に勤務しています。業務の一環として、防火・防災・防犯を担当し、また社内のERT(Emergency Response Team)のメンバーの一員として、日々求められる防火・防災・防犯管理から大規模災害に備えたBCMやBCPの策定、実施および維持管理等を行っております。

ご自身で被災された経験がございましたら、お聞かせください

前職での経験となりますが、2011年3月11日の東日本大震災発災時は、災害対策本部の一員として管理している大規模複合施設の復旧業務にあたっておりました。前職では、オフィステナントの営業担当をしていたため、発災直後は安否確認やビル内で発生している各種事象の確認や説明、発災数時間後は、今後の対応方針についての説明、機器設備の不具合対応、今後の営業方針についての確認、また、余震が続いていたため、引き続きオフィステナントの安否確認をしておりました。このように、発災当日は深夜まで対応等に追われました。発災翌日も朝から、引き続き、オフィステナント対応や施設の復旧作業等を実施し、自宅に帰ったのは、3月12日の夕方だったのを覚えております。発災後の1年間は、震災対策室の一員として前職の震災対応方針の検討や訓練等を行っていました。また、本業であるオフィステナントの営業としては約1年かけ、ビルの安全性についての説明や各種リクエストへの対応、防災対策の見直しや新規構築をしました。オフィステナントに対しては、自助共助がいかに重要であるか理解いただくことができました。当時担当していたオフィステナントから、「この1年間熱心に防火・防災について取り組んでいただき、ありがとうございます。このビルに入居して本当に良かった」と言われたのを今でも覚えています。現職では、社員が安全で安心な職場環境で仕事ができるよう、ビル管理会社と協力し、防火・防災対策に努めています。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

各種資格(BCAO認定事業継続准主任管理者、応急手当普及員、防火管理技能講習等)を取得し、オフィスビルや企業の防火・防災・防犯対策や、一般的な火災・震災や応急救護等、自分の身の回りで発生するであろう事象についての知識はございますが、地震や津波のしくみ、行政の災害対策、災害医療また地域社会での防災対策等についてより詳しく知りたいと思い、防災士の資格を取得しようと思いました。

防災士の資格を取得して得たことを、どのように役立てようとされていますか

防災士の資格の活かし方ですが、日本防災士会へ会員登録し、別の企業や地域コミュニティで、活躍している防災士の方たちと情報交換をしたいと考えています。 また、防災士として、社員と一緒に防火・防災対策(活動・勉強会等)に取り組んでいきます。今後は、自分が住んでいる地域コミュニティでも、防災士として活動ができればと考えています。

現在、実際に取り組まれていることがありましたらご紹介ください

現職に就いてから、社員および自衛消防隊に対して講習会や実技等を実施しています。今まで、実施した内容としては、「災害に遭った際の初動対応」・「心肺蘇生方法」・「歩行困難者の避難方法」・「帰宅困難者にならないための対策」・「消火器の使い方」・「オフィス内にある消防設備の説明」等があります。また、500名強の社員用に、5日分の防災備蓄品(保存食や保存水等)、衛生用品、寝具やパンデミックの際に使用するマスク等の管理も行っています。どんなに優れた防火・防災対策でも、実際に災害が発生してみないとその真価が問われることはなく、また、日々変化する災害の危険性等に対応する必要があるため、防火・防災対策にはゴールは無いと考えています。引き続き、防火・防災に関する知識や技術の向上を図り、社員および自衛消防隊と情報共有をしていきたいと思います。

今後の課題、抱負をお聞かせください

東日本大震災から今年で5年が経過し、以前よりは震災への関心が薄れてきていますが、社員(社員家族も含む)への防災に対する意識の向上を図っていきたいと思っています。自助という側面から、我々に何ができるかを引き続き検討していきたいと思います。 また、今後は、職場だけでなく、地域社会の防災活動にも参加していきたいと考えています。

防災士について
防災士インタビュー