防災士インタビュー

佐々木雄一さん

お仕事の内容をお聞かせください

東京慈恵会医科大学附属病院に、臨床工学技士として勤務しております。
臨床工学技士はメディカルスタッフの一職種であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。現在、手術部門責任者として、心臓外科手術時の人工心肺装置の操作をはじめ、各種医療機器の保守管理やトラブル対応、スタッフ向け講習会などを行っております。
また、院内のDMATワーキングや再整備災害対策ワーキングなどの災害関連活動にも積極的に関わっております。
資格・認定:臨床工学技士、体外循環技術認定士、3学会合同呼吸療法認定士、透析技術認定士、FCCSコース修了、ホスピタルエンジニア、防災士

ご自身で被災された経験がございましたら、お聞かせください

東北地方太平沖地震(東日本大震災・2011年3月11日)時は、手術室に居りましたが、突然の大きな揺れを受け、各手術室の巡視点検を実施しました。
幸い、心臓外科手術は、人工心肺装置の使用を終了しており、大事には至りませんでした。
関係各所と連携し、大きな異常がないことを確認した後は、集中治療室で補助循環装置使用中の患者さまの対応などを行いました。余震の影響も考慮し、翌日まで集中治療室に常駐したことを記憶しています。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

医療機器安全管理の向上(防災の視点)を目的に「医療機器地震対策プロジェクト」を発足し、プロジェクトリーダーとして情報収集のために訪れた危機管理産業展(RISCON TOKYO)で「防災士」を知り、資格取得を決めました。

防災士の資格を取得して得たことを、どのように職務や地域での活動に役立てようとされていますか

「防災士」「臨床工学技士」の各視点から、患者安全・医療機器安全管理に関わります。
一般的に医療施設の産業形態は労働集約型と評され、極めて専門性の高い人的資源への業務依存度が高いとされています。この点では、院内スタッフの防災意識向上が求められます。しかしながら、医療施設の業務特性のもう一つの側面として、その業務の多くが精密医療機器・設備の稼動によって支えられていることも、BCP・BCMの観点からは見逃すことができません。
これら機器・設備は平時の業務効率化に大きく貢献していることは間違いありませんが、逆に言えば、これらの機器が停止・故障した場合の影響も非常に大きくなります。そのため、十分な対策を講じておかなければ、災害が発生した際に機器・設備に甚大な被害が発生する可能性が高くなります。
まずは地震への脆弱性がどこにあるのか適切に把握する事が重要であり、脆弱であることが明らかになった設備・機器に対しては、固定や耐震化など適切な対策を施すことが必要になります。設備自体の交換が必要であるなど大規模投資が必要となる、あるいはライフラインの途絶によりどうしても当該機器が使用できないなどの理由から即座に有効な対策を施すことが困難である場合もあります。その場合には、当該設備が使用できなくなるとの前提の下で手作業等での代替による業務遂行の方法を検討し、マニュアル化するなどの対応が必要と考えます。

現在、実際に取り組まれていることがありましたらご紹介ください

防災士研修で得た知識をベースに、自部署で勉強会を開催し、「防災」に関する意識向上に努めています。

今後の課題、抱負をお聞かせください

「防災」と「医療」を繋ぎ、病院利用者・スタッフ共に安全安心な環境の整備に努めます。病院スタッフとして、助けられる側でなく助ける側であるために「防災」について主体的に取り組み、「生命を守る」行動を展開できる日本の臨床工学技士をリードする組織をデザインしていきます。

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