防災士インタビュー

佐藤大伍さん

受講のきっかけは?

 3.11の東北地方太平洋沖地震が一番おおきなきっかけです。私の実家が宮城にあり、家族が被災しました。  実家は海岸からは離れていましたので、幸い津波の被害こそなかったのですが、家族はとても不便な生活を強いられました。物流が止まってしまったためスーパーには商品がないし、水や電気も使えない。そんな状況で、大切な家族を守るため、事前に自分にできることは何かと考えたところ、まずは災害や防災について正しい専門知識を身につけようと思いました。

実際受講しての感想は?

 正直言いまして、衝撃を受けました。 元々、私は防災について、リュックサックの中に色々なものが入っている『防災グッズ』さえ持っていれば安心だろうと簡単に考えていたのですが、それは大間違いでした。  生死を分けるのは『防災グッズ』だけではなく、それ以外にも沢山あることを学びました。 とりわけ大事だと知ったのは、家や家具のこと。 家屋の耐震補強とか、家具の固定をすることによって、生き残る可能性が高まることを知りました。『防災グッズ』ももちろん大切なのですが、それ以前に、家具につぶされてしまったら、何の意味もないですよね。それに、そもそも住む地域を選ぶ段階から、防災は始まっていることを学びました。  また、自分が被災した場合、行政による支援物資がいつごろ届くのかというのも勉強になりました。発災後、少なくとも3日間は自力で生活する必要があるそうです。そう考えると、自ずと備蓄する物資も変わってきます。  加えて、とても大事な考え方だと思ったのは、人を助けたいと思ったらまず自分が助からなければならないということです。私は大切な家族や友達の命を守りたいというのが防災士の研修講座に申し込んだ動機です。そのためにはまず自分が生き残ること。そして、生き残るためには正しい知識が必要ということ。そのような点で、防災士の研修講座は良い意味で沢山の衝撃を受け、楽しく勉強できました。座学だけでなくワークショップ形式の演習もあって、とても興味深く楽しい内容でした。勉強しているという意識すら感じないほど、充実の内容でした。資格として形に残るという点でも良いですね。

今後、どのような活動をしたいとお考えですか?

 はい、同じ大学の友人に勧めたいです。理由はいくつかあります。  まず、そもそも私にとっての大学は、就職するためだけに通うところではなく、自分を高める場であると思っていました。実際に友人の中には、大学の講義以外に英会話やファイナンシャルプランナーの勉強をしている人もいます。僕にとってはそれが防災士でした。 防災士で一番魅力な点は、正しい知識を身につけると、自分で災害対策をしようとしたときに、具体的に何をすればいいかが分かるようになったことです。大切な家族や友達を守るために具体的な行動に移せる、そういう人間に自分を高めることができる、ということです。  また、この知識は日本人である僕たちには必須の知識だと思っています。地理的に災害が避けられない日本において、現状の防災教育は不十分だと思っています。建築関係の一部の学科では防災について学べますが、私のように文系に所属していると防災について学ぶ機会はありません。一部の人に必要な知識ではなく、国民全員に必要な知識なのですから、大学でも一般教養課程で学べるようになったらいいと思います。または、大学には防災士のような資格取得をもっと支援して欲しいです。例えば、単位として認定される仕組みとか、受講費用の補助とか。そうすれば、今以上に学生達に自分を高める機会を提供できるのだと思います。 繰り返しになりますが、日本に住んでいる限り、いつかは必要になる知識ですから、大学生の内に取得することをお勧めしたいです。  時間があって、やる気があって、学割が効く。学生には決して簡単に出せる金額ではありませんが、受講しただけの価値は絶対にあります。そこに学校の補助があれば尚嬉しいですね。

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