防災士インタビュー

八巻淳子さん

お仕事の内容をお聞かせください

大学院で地学を学んでいます。特に岩の割れ目について研究しています。地震を起こす断層も岩の割れ目です。地球の地殻内には、断層をはじめ、複雑な割れ目が不均質に分布していますが、その複雑な岩の割れ目分布をフラクタル幾何学の概念を用いて定量的に評価し、3次元的な割れ目の分布の不均質性や異方性について調べています。

ご自身で被災された経験がございましたら、お聞かせください

東北地方太平洋沖地震のとき、春休みでしたので仙台駅の飲食店でアルバイトをしていました。大きな揺れが起こった際、誰が声をかけた訳でもないのに、店内にいたお客さまやスタッフは、すぐに机の下に潜って身を守っていました。後からふり返ってみると小学校から繰り返し防災訓練でやってきたことは、とっさに出るんだなと防災教育の大切さを感じました。
揺れが収まった後、仙台駅前の駐車場に避難しました。とりあえず、多くの人が避難している場所に自分も避難しただけでした。電気が止まり、携帯もほとんど使えなかったため、巨大な津波が来ていて沿岸部が壊滅的な被害にあったと知ったのは、翌日の3月12日でした。
その後、震災時の津波の様子をテレビでみると、私が何も考えずに人の動く方へ何となく着いていって、何となく待機していたあの瞬間に、沿岸には津波が襲来していたかと思うとなんだか自分が恥ずかしくなります。もちろん仙台駅は海から離れており、逃げる必要はありませんでしたが、自分で考えて、判断して行動していたわけではなかったのです。正しい判断が自分でできるよう、もっと防災の知識をつけなければいけないなと思いました。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

もともと自然が好きで、気象予報士の資格を取得していました。NHKの「おはよう日本」で活躍されている気象予報士の檜山さんが、防災士の資格も取得されている聞き、防災士の存在を知りました。大学を卒業したら、自然災害との上手に付き合う社会作りに貢献できる仕事がしたいと思っており、気象の予報の提供だけじゃなく、気象予報をどう活かして防災を行うか、という知識を付けたいと考え、取得を目指すようになりました。大学で地震に近い研究をしていたり、東日本大震災を経験したことで、防災への関心が高まっていた事も重なっていたと思います。

実際に取り組まれていることがありましたらご紹介ください

実家の母親が、大きな食器棚の前で寝ているので、帰省するたびに「地震が起きたら絶対に危ないよ」と口を酸っぱくして言っています。そこで寝ると朝の支度が楽なようで、なかなか改善してくれません。災害は、万が一に備えるものですが、頻度の少ないもののために、普段の生活を変えることってなかなか難しいなと感じています。何か良い提案をできるよう、もう少し考えてみようと考えています。まず、自分の命、そして家族の命から守っていきたいです。

今後の課題、抱負をお聞かせください

高校生の時から、地理などの自然科学が大好きでしたが、東日本大震災では、自然の恐ろしさを身を持って感じました。日本列島に住む以上、自然災害とも上手く付き合っていかなければなりません。大き過ぎる抱負かもしれませんが、自然災害から一つでも多くの命を救って、いつかは「自然は怖いこともあるけど、やっぱり大好き。」と、日本に住む人全員が思えるようになれたらいいなと思っています。

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