防災士インタビュー

吉田トシ子さん

お仕事の内容をお聞かせください

 秦野市社会福祉協議会で法人運営班に所属し、秦野市保健福センターの施設管理の仕事をしています。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか?

 長女の勧めで、家族全員が防災士の資格を取得しました。研修では防災に関する知識や技能を学び、災害への事前の備えが大切なことを実感しました。同時に、防災は男性がリードし、女性の視点が欠けていることに気づきました。災害時の避難所では、女性はトイレや授乳、プライバシー面で苦痛を強いられる弱い立場です。一方で、日中に被災した場合、家庭にいる女性が対応しなければならないことが想定され、日頃の備えには女性のきめ細かな配慮や知恵が不可欠だと感じています。家庭の母親が学んだ防災知識は家族へ伝えられ、近所づきあいから地域にも広がっていくと思います。災害弱者でありながら家庭での防災の担い手ともなる女性だからこそ、その意見が防災対策に反映される必要があります。
 地域防災における女性の影響力は非常に大きいので、女性たちにもっと防災を身近に感じてもらえれば、地域の防災にもつながるのではと考えて、神奈川県秦野市で女性の防災士に声を掛け、「なでしこ防災ネット」を立ち上げました。

防災士の資格で得たことはどのように役立っていますか

 「なでしこ防災ネット」では、女性の視点から地域の防災・減災に取り組み、防災対策の普及啓発を、中学生や地域、行政、12連携団体と協働で高齢者、子育て中の親子、障害者などを対象に実施しています。災害時の生活用水の確保等をまとめた防災マップや、日頃の災害への備えをまとめた「女性の視点からの防災対策」、オリジナル防災講座、非常食(救援物資)や身近な食材を使ったレシピ集を作成するなど、多様な取り組みと多くの住民を巻き込んだ活動で、地域住民の「共助」の意識を高めようとしています。

今後の抱負をお聞かせください

 大切な命と財産を守るには、さまざまな場での事前の対策が不可欠です。そのためには、平常時・災害時の両方で機能する人と人のつながりをつくることが重要だと感じています。地震などの大災害に備えるためには、自助、共助、公助の適切な連携・組合せが必要です。それは、行政は勿論のこと、社会全体で取り組むべき課題であり、一般市民、自治会、企業、各種団体、市町村、都道府県、国が、それぞれの役割を認識しながら取り組んで初めて達成できるものだと思います。
 減災・防災について県民の意識が高まっている今、行政や企業、ボランティア団体のほか、地域のさまざまな主体と連携し、お互いの特性を活かしあいながら、つながりのパワーを活かし、
 1. 地域・企業・行政・各種団体との連携による地域防災協働体制の確立
 2. ネットワークによる情報網の整備
 3. 減災から復旧までトータルな災害対策システムの構築と人材の育成
などに取り組み、災害に強い地域づくりをし、全国に先駆けた仕組みを作っていきたいです。

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