防災士インタビュー

藤原博伸さん

お仕事の内容をお聞かせください

女子聖学院中学高等学校で理科(物理系)を担当、防災委員長として防災及び減災に関するソフト面(被災対応の各種マニュアルの作成や避難訓練)及び、ハード面(自家発電の操作方法や地下湧水槽の有効利用)等を担当しております。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

1905年に創設された本校は、東京北区田端の高台付近(標高 約23.7m)にあります。過去の資料によれば、関東大震災の2日後には校舎を開放し千名に及ぶ避難者を受け入れ、数週間の共同生活をしたこと等が記録されています。この事は、もし今後同様な災害が起これば、本校は生徒や教職員の安心・安全の確保のみならず、この地域の方々にとっても重要な防災拠点になりうる可能性のあることを示しています。
しかし、過去とは異なり現代の都市型災害への対応は場所や状況によって様々に変化し、内容が複雑で多岐にわたり、一筋縄でいかないのが現実です。これらについて包括的に対応するための、必要不可欠な防災知識の基礎を身に付けると同時に、現在すでにある学校の設備関係の有効利用を再検討し構築する目的で、「防災士研修」を受講させていただきました。

防災士の資格を取得して得たことを、どの様に職務や地域での活動に役立てようとされていますか

「防災士」資格の取得後あまりに対応しなければならないことが多く、その責務の重さをひしひしと思わされる毎日です。この思いをどう表現するのが適切なのか分かりませんが、「学校の中に学校を作る、会社の中に会社を作る」事のように思わされています。

現在、実際に取り込まれていることがありましたらご紹介ください

本校での防災や被災時の対応は、大きく二つに分かれております。

①ソフト面(生徒とその家族への対応・帰宅困難者を含む
近隣の方々への対応)
②ハード面(学校設備の利用の仕方)
①ではそのマニュアル化をできるだけ急いでいます。②のハード面では、電源の喪失や上水の断水、放射性汚染粉塵の飛来が起った際の対応等は、その複雑さの故に徹底したサイエンス的なアプローチが必要であると考えています。ハード面の対応を考えると、それ相当のコストがかかりどの私学も防災に対応できる費用を捻出することは難しい状況でもあります。自分の個人的な防災についての考えは、その根本は隣人に対する思いであるとしても、それを具現化する徹底したサイエンスが求められているのだと思います。そのためには、可能な限りシミュレーションすることが重要と考えています。
その一例として、電源の有効利用する装置の作製と各種デバイスの利用、学校を中心とした生徒の居場所との相対的な位置関係(方位角や特定の場所からの距離)等を計算し、グラフ化するプログラム開発を進めています。これらに関する処理のアルゴリズムは、昨年発行した「教科(物理)を生かした学校防災の取り組み」(東京都私学財団の助成による)にまとめてあります。また、今年度は「学校設備を有効利用する防災教育の一考察」(同上)について、自家用発電のマニュアル化や地下湧水槽の有効利用、教室内の環境管理等についての研究を進めています。
学校の設備は、教師がそれを利用するスキルを十分に磨くことで、「宝の山」になります。 そのスキル次第で、まさに学校の中に学校を構築することが可能になると思います。

防災士について
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