防災士インタビュー

阿部裕子さん

ある本がきっかけで、防災士になったとお聞きしています。

気象予報士でもある防災士・三好真紀さんが書かれた「あなたに優しい防災習慣・天気の見方」という本を読んだのがきっかけです。防災の知識は生きていく上でも必要ですし、天気キャスターの仕事に少しでも生かせればと思い、防災士になりました。

阿部さんご自身は何か災害を体験しているのですか?

1998年8月26日、記録的な集中豪雨により県南部の地域で水害等が多発しました。当時私は高校生でしたが、民家が濁流に流されていくニュース映像を見たときの衝撃は今でも忘れられません。
 私自身は被害には遭わなかったのですが、遠くから通学していた高校の友達の中には被害にあった子も居て、交通機関が不通となったために、学校を数日休んだり親に車で送迎してもらったりするなど、とても大変そうでした。

(2009年6月に)防災士になられました。

今後は、担当する天気予報の中で、防災の知識や備えの大切さなどを少しでも伝えていけたらと思っています。また、小さなことですが、家族や友人に防災の大切さなどを話しています。

ご家族や友人にはどんなことを話しているのですか?

福島はあまり大きな地震を経験したことがないため、地震に対する防災意識が低く、対策もとられていない家庭が多いように感じます。地震はいつ何処で起こるか分からないため、それに備えて家具等を固定したり、寝室には極力荷物を置かないことが大切だと話しています。また、皆さんに楽しみながら防災知識を身に付けてもらえればと、ブログ上で防災クイズを出したりもしています。
 備蓄もしています。手動のラジオなどが入った非常用リュックや、ダンボールの非常用トイレ。また、うちは犬がいますので、緊急時の犬のお家として小さなテントを買いました。庭の物置には非常時に必要なものを入れて、いつでも取り出せるようにしています。

お仕事上ではいかがですか?

今までは気象台のホームページからの「気象に関する情報」の収集が主でしたが、防災士の勉強を始めてからは、河川の増水状況や道路状況などがわかる河川国道事務所など、様々な機関から情報を収集するようになりました。今後は、各所から得た様々な情報を参考に、「今どのようなことに注意すべきか」「今後どうなるのか」ということにいち早く気づき、それを視聴者の皆さんに伝えていければと思っています。
 また、9月1日の「防災の日」には、災害に備えることの大切さや、いざというときの対処方法などについて取り上げられればと考えています。

天気キャスターに興味がある方も多いと思いますので、阿部さんのある一日のスケジュールを教えてください。

出勤は11時ごろとやや遅めで、季節の変化やその日の天気を肌で感じるためにも、50分の道のりを極力歩いて通勤するようにしています。出社したら、まずは気象情報をチェック。天気図や予報文等を参考に、その日の天気に合わせて天気コーナーの大まかな流れを考え、必要に応じてCGやフリップなどを発注します。お昼の打ち合わせ後に、昼食。
 14時頃からヘアメイクをし、衣装に着替えます。3時間番組の中で出番が3回あるので、放送が始まると気が抜けません。特に荒れた天気の日にはコロコロ情報が変わるため、走り回っていることも多いですね。番組終了後の反省会に出席し、仕事が終わるのは19時半ごろです。

          

防災士についてご意見をいただければと思います。

まだ「日本防災士会・福島県支部」がないので支部を作り、周囲の防災士が知識の共有や意見の交換をする場を作るべきだと思います。そして、もっと行政と密接にかかわって、災害発生時の対策などについて普段から話し合っておくべきではないでしょうか?「資格」や「知識」があっても、後ろ盾がないと活動しづらいことがあるのが実情だと思います。

          

天気キャスターとしてメッセージをお願いします。

大雨などで災害が起こる可能性がある時には、受け身ではなく、自ら情報を得ることが重要だと思います。ウェブ上での気象庁や国土交通省の情報は、テレビやラジオより内容が詳細で、随時最新の情報が更新されています。情報があれば、予測ができ、対策ができます。それにより、被害が軽減できることも多いはずです。特に地盤が弱い地域や河川の周辺等にお住まいの方などは、豪雨や台風発生時の情報収集を心がけていただければと思います。

          
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