防災士インタビュー

坂上香里さん

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

私は20歳代のときに、会社勤めをしながら、ローターアクトクラブという奉仕活動の団体に所属していました。そこでは地域の児童福祉施設や老人ホームの慰問をはじめ、ポリオ撲滅活動の一環としてワクチン投与の為、インドを訪問する活動に参加させていただいたりしていました。
その後、ロータリークラブの事務局へ勤務するようになり、昨年メンバーの皆さんが企画された「災害時における職業奉仕の在り方」についての勉強会が行われ、東日本大震災の被災地である釜石市のから講師をお招きし、当時の報道では伝わりきれていない事実と現状、今後の課題について、生の声を拝聴させていただく機会がありました。テレビ等で称賛されている「釜石の奇跡」のことにふれられ、自らの命を守り、家族に声を掛け、お年寄り、幼い子どもたちの手を引っ張り、高台へ向かった子どもたちは、多くの命を救いながらも「当たり前のことをしただけだ」と言ったといいます。釜石の奇跡は奇跡ではなく、日頃からの防災教育から実践された行動だったと伺い、その時、私もどんな災害が起こったとしても、「想定外」と呆然と立ちすくみ、何もできないでいるのではなく、万が一の時は、釜石の子どもたちのように自らを守り、家族を守り、そして救急車やレスキュー隊が来るまでの貴重な時間に救える命を1人でも多く助けたいと思い、今年7月退職を機に、防災について勉強のため、まず受講しようと思いました。

防災士の資格を取得して得たことを、どのように役立てようとされていますか

防災士の研修での権威ある先生方のお話は、試験の為や教本の講義だけではなく、我々が知り得ない東日本大震災直後の資料や現地の様子、また南海トラフ地震の被害想定について等、関心深いお話が多く、その講義の合間にハザードマップの作成や、避難所運営のシミュレーションなどのグループワークも経験でき、とても有意義な二日間でした。改めて災害が起こったときの避難、迅速な対処も大切ですが、日頃の「減災」への心掛けがいかに大切かを学びました。
防災士になった今、まず家族から、そして地域の皆さんに「減災」に対する意識を持っていただけるように呼びかけたいと思います。地震だけではなく、最近記録的猛暑が続いたり、各地で大きな水害が発生したり、自然とは正面から向き合っていかなければならないと思います。

今後の課題、抱負をお聞かせください

防災士を取得して間もないこともあり、まだ何も行動を起こせていませんが、これからもスキルアップに心掛けたいです。防災に関することは男性が多く活躍されていますが、地域で活動できる場を探したいと思っています。男性よりはもちろん体力不足ですが、女性として、また母としての目線で、何かお役に立てることがあるのではないかと感じています。また、将来は、子どもたちへの防災教育に携わりたいと思っています。子どもたちが、万が一の時は、自らの命を守るという基本的な防災教育を通じて、地元の町の地形や歴史を知り、町の人たちとのふれあう中で、何より「命の大切さ」を学び、また「共助する心」を持ってもらえるのではないかと期待しています。子どもたちが学び、知識を得れば、大人たちも関係ないとは言えません。将来、きっと子どもたちが、良いコミュニティを形成してくれると思っています。

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