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防災士研修センター 議員研修事務局
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-4 砂防会館別館7階

メッセージ

   令和防災研究所長・
明治大学名誉教授

青山 佾


 2000年7月15日M6.3の地震により、東京伊豆七島のひとつ新島で震度6弱の激しい揺れが発生し、島内各所の道路が崖崩れにより寸断されました。
日曜日でしたが、副知事だった私は自宅の引っ越しを放棄し、すぐに都庁に行き防災服に着替えて東京消防庁のヘリが待つ木場のヘリポートに向かいました。
途中、島しょ地区選出の都議に電話して「一緒に行きませんか」と声をかけて木場で合流し、新島の中で孤立した若郷集落の埠頭に降りました。
 そこには400人ほどの島民が集まり、島の中心地区に避難するための船を待っていました。私たちは被害状況を確認してから、漁船に頼んで村役場に運んでもらい、建設局長や河川部長にも村長室に集合してもらいました。彼らはそのとき群発していた地震の被害調査で隣の神津島に来ていたので漁船で新島に渡航してもらいました。
 その場で、若郷集落の孤立を防ぐには、山の急斜面に沿った道路の復旧とは別にトンネルを掘ることを決めました。都議会各会派から国会への要望も始まり、首相や各大臣、国会各会派の代表も来島し、国費がつくことも決まりました。
 都庁内には「意志決定に必要な手続きを経ていない」と強い反対がありましたが都議会も国会も一人の反対もなく事業は決まりました。
「緊急の災害時に議会や議員の出番はない」と主張する人が今日でもいますがそれは社会に対する無知ゆえの意見です。集落が孤立すると学童をもつ働き盛りの家族が一斉に出ていき、コミュニティは崩壊します。災害対策には強力で集中的な事業を必要とすることが多いのです。そして事業の執行には議会の決定が不可欠なのです。
 コロナ禍の緊急事態宣言のとき、休業要請対象業種をめぐって議論が起きたことがあります。こんなときは、行政の密室で対象業種を決めるのではなく社会の実態を知っている自治体議会がオープンに議論すべきでしょう。私は行政の中で育った人間ですが、防災における議会と議員の役割を痛感しています。
 自治体議員とその関係者の皆様には、ぜひ防災における議員と議会の役割を再認識してほしいと念願しています。


会場

防災士研修センター
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