防災士インタビュー

川久保 聡さん

お仕事の内容をお聞かせください

千葉県舞浜にあるショッピングセンター「イクスピアリ」で施設運営、食の安全、防災を主管するタウンオペレーション部で仕事をしています。
 一般的にショッピングセンターでは、防災関係を施設・設備部門が担当する事が多いのですが、イクスピアリでは訪れるゲストに安全で快適な滞在をしていただきたいとの観点から、ゲストサービス部門であるタウンオペレーション部が、通常営業時と共に災害運営時についても統括管理する形態になっています。

被災された経験がございましたらお聞かせください

イクスピアリでは、東日本大震災の際、駐車場の一部で液状化が発生したものの、建物自体に大きな損害はありませんでした。また、公共インフラ(電気、ガス、水道)が停止しなかった事も不幸中の幸いでした。しかしながら鉄道等の交通機関が翌日まで復旧せず、帰宅困難者約1,200人を受け入れました。その後の浦安市内の水道管復旧工事による断水が発生。この上水道の復旧を待って3月28日、営業再開となりました。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

首都圏直下型地震、南海トラフの巨大地震等の報道がなされ、企業における危機管理についても、より高度な対応が求められています。防災情報や知識は、ややもすると発生ベースで断片的なものとなる事から総合的に防災知識を学びたく資格を取得しました。

防災士の資格を取得して得たことを、どのように職務役立てようとされていますか

イクスピアリの防火・防災管理者、自衛消防隊長、防災対策主管部長として、より安全、確実な防災時の対応が出来る様、施設としてのレベルアップに努めたいと思います。

現在、実際に取り組まれていることがありましたらご紹介ください

イクスピアリの震災時の被害想定は、建物の一部破損、電気・ガス・水道等のライフラインの供給が停止、公共交通機関などの途絶により帰宅困難者の対応が必要になるとしています。
これを前提に防災計画を立案し、現在、災害時のコミュニケーション、応急救護、災害備蓄、防災知識の向上等に取り組んでいます。コミュニケーションについては、東日本大震災時の対応の課題から、無線機を当時の台数の4倍 に増やし、無線従事者の育成と共に社員への使用方法等のトレーニングを進めています。応急救護は、応急手当普及員を社内で育成し定期的に普通救命講習会を実施しています。災害備蓄は、当初の備蓄計画をほぼ達成。賞味期限のあるものは5年計画で順次備蓄を進めています。防災知識の向上を目的とした防災勉強会は、防災、減災力の向上に向け順次講習会を実施していく計画です。

今後の課題、抱負をお聞かせください

いかに無線機を増やそうと、備蓄を充実させようと使いこなせなければ意味が有りません。まずは、これらの機器、備品の習熟トレーニングを進めます。 また、普通救命講習に加え、災害時の応急手当対応能力の向上のため、赤十字救急員養成講習の受講を進めます。
災害はいつ発生するかわかりません。この為、「その時、そこにいる人」が対応する事となると思います。イクスピアリを訪れるすべてのゲストに安心、安全な環境を提供出来る様、全体のレベルアップを進めていく事が、今後の最も重要な課題です。

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