防災士インタビュー

緑川貴士さん

お仕事の内容をお聞かせください

放送局のアナウンサー、記者として活動しています。東日本大震災の発生当時は、秋田県内の広い範囲で数日にわたって停電し、ロウソクの灯りの下、身を寄せ合う一般家庭の家族や、グループホームの入居者などを取材しました。ほとんどの視聴者はワンセグなどでしか放送を視聴できない状況の中、ローカル局としてできる、県内の生活に関連したきめ細かな情報の提供に努めました。
秋田県では、重大な人的被害こそありませんでしたが、長期間にわたって生活物資が不足し、幹線道路では信号機が作動せず、さらにガソリンスタンドで給油を待つ車の長蛇の列ができて渋滞するなど、災害時の備えの不十分さが浮き彫りになりました。

なぜ防災士の資格を取得しようと思われましたか

私は、秋田県内を放送エリアとする情報番組の中で、気象予報士として気象情報を伝えています。気象情報の伝達の中には、住民への注意喚起、そして防災を含みます。秋田は、冬は冷たい北西風が相対的に暖かい日本海を吹きわたることによって、雪雲が発達し、暴風雪に見舞われることも多く、一方夏は、内陸で全国一の暑さになるようなアメダス地点もあり、気象の変化に富む地域です。地球温暖化の影響で頻繁に起きる異常気象、そして東日本大震災をはじめとした未曾有の災害に対応した防災のあり方が求められており、防災の本質を学びたいという思いから、防災士になることを志しました。

防災士の資格を取得して得たことを、どのように職務や地域での活動に役立てようとされていますか

今年3月、秋田県内で起きた過去の大地震について、防災士として学んだ知識も盛り込んだ特集を企画、放送しました。大正時代に県内で発生した大地震、秋田仙北地震(通称強首(こわくび)地震)から100年が経過した月で、現在も残る、被害の爪痕や、そこで暮らしている住民が伝えたい地震の教訓などをインタビューし、VTRで放送しました。
地震予知の技術も時代とともに進んでいて、画期的な話題としてニュースで取り上げることもあります。こうした技術の未来の確立を待ち望む声はもちろん多いと思いますが、一方で過去の災害から汲み取れる教訓をいつまでも忘れないことが、今を生きる私たちの「日頃の備え」につながり、現実的な減災や防災に結びつくのだと思います。今後も、過去に起きた災害の記憶を風化させないような放送に努めていきたいと思っています。

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